誇大広告

2008.11.14

以前、報道番組で3Mix-MP法という歯科医療技術を知った。
素人なりに3Mix-MP法を端的に説明すると、「麻酔を使用せずに治療可能」で「人体本来の自己回復能力を生かす」ことによって治療が困難な症例のアプローチとなる、といったもののようである。
番組を見て、「素晴らしい!」と率直に感じた。
後日、歯科医大に通う後輩にこの治療方法の詳細を聞いて感動は消失した。
大まかに、
1.特段、最先端の治療法ではない
2.持て囃されるほど万能ではない
3.信頼性が確立されていない
といった理由に説得力があったからだった。
(※この後輩は他のあらゆる治療法と比較しながら私に教えてくれた。)
報道番組が嘘をついたわけではないのだが、”また”やられた、という気にさせられた。
誇大広告。

最近読んでいる『Joel On Software』で、誇大広告に関する奇妙な主張を見つけた。
(※文中の太字箇所は本文の表記に則している)

―中略
Java、XML、SOAP、XML-RPC、HailStorm、.NET、Jini、ああ、ついていけない。
しかもこれが全部、最近12か月でのことなのだ。
これらのアーキテクチャに何かまずいことがある、と言っているわけではない・・・・・・決して。
非常によくできたアーキテクチャだ。
イライラさせられるのは、それを取り巻いている、至福の千年王国がやってくる、みたいな大量の誇大広告だ。
―中略
人はなぜ、RPCのための新しいメッセージフォーマットとか、新しいバーチャルマシンという以上の何物でもない退屈なアーキテクチャに感銘を受けるのだろう?
これらは、たぶんいいアーキテクチャなのだと思うし、それを使う開発者には確かに利益があるのだろうけど、白いロバにまたがってエルサレムに入城する救世主だとか、世界平和だとかの代わりになるものではないのだ。
―中略
アーキテクチャの連中は、彼らが解けると思った問題を解いているのであって、解くのが有用な問題を解いているのではないというのを覚えておこう。

この主張に生産性は何もなく、彼の景色を完全に想像するのは難しい。
ただ、マーケティングに翻弄されず実体を正しく解釈することの大切さは、分かる。
治療法の良し悪しは医者でなければ判断できないように、アーキテクチャの良し悪しを客観的に判断できるような努力を続ける義務があるようだ。
「誤りでない」ことと「正しい」ことに大した違いは無いのだろうが、「誤りでないことを証明するために努力する」ことよりも「正しいことを証明するために努力する」ことのほうが続きそうだ。

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